ユーザーの声を集めるための 明日から使えるCSテクニック集
こんにちは、くるくる です。現在LAPRASでカスタマーサクセスをしています。
今回は LAPRAS Advent Calendar 2020 の参加記事として、ほんのちょっとだけテクノロジー寄りの記事を書いてみようと思います。
はじめに
カスタマーサクセスマネージャー(CSM)として仕事をしていく上で一番大切にすべきことは何か、と聞かれたらみなさんはどのように答えるでしょうか?
私はユーザー理解、付け加えると、具体的に理解することだと考えています。
もしあなたがCSMをしているのであれば、少なくとも社内の他の職種の人よりもユーザーについて知っていたいですね。そして、ユーザーの声を集めて社内に還元するのもCSMの重要な役割です。
ユーザーの声を集めよう
とはいえCSMも日常の顧客対応などでドタバタしており、いつでもユーザーにしっかり向き合うことはなかなか難しかったりします。
プロダクトマネージャーなどと一緒にあらたまってユーザーヒアリングを行うことも大切ですが、自然に集まってくる仕組みを構築しておくと社内の誰でも簡単にアクセスでき、勝手に示唆を引き出してくれるようになるので便利です。また、流れてしまいがちなちょっとしたコメントや、時系列での変化も追うことができるようになるので、定量では追いにくいちょっとした機能改修や施策の効果を把握することにも有効です。特にBtoBサービスで利用社・者数が少ない場合は同質なデータを大量に収集するアプローチが有効でないことが多いので、いただいたコメント一つ一つがとても大切です。
また、集めるのはユーザーの声であって、「要望」だけではありません。「称賛」「苦情」「感謝」「質問」も重要なインプットになりますので、是非記録しておきましょう。同じようなコメントが何度も出てきたらそれは改善のチャンスかもしれません。更に質問の背景なども深掘りして聞けるとより良いです。また、自身の解釈は解釈として、あくまで事実としてユーザーがどんなフィードバックをくれたのかを記録しておきましょう。ユーザーの状況をよく知っているCSMであればそこから得られる示唆を社内にもたらすことができるでしょう。
気をつけるべきこと
というわけで早速中身に入っていきます。まず設計時点で気をつけるポイントを見てみましょう。ここでは、リサーチの原則に沿って考えてみます。
目的
どんな調査・データは目的に沿って収集しないと活用が難しいので、どのような目的を持ってデータを集めていくのかを決めておきましょう。単発の調査ではない場合の目的は大体以下に集約されます。
- CSMのアクションプラン策定のためのトリガー
- プロダクト改善のインプット
- プロダクト・サービスの健康状態のモニタリング
目的に応じた手法を採用する
当たり前ですが、目的を達成できる手法を採用しましょう。基本的には「仮説のある/基準が明確なもの」は仮説を検証する定量調査「仮説を立てるための/アイデアを得るための」ものは定性調査です。定量調査では選択肢の正確性や回答数を上げること、定性調査では適切な回答者を確保することや回答を誘導しないようにうまく発散させる技術などが重要になってきます。
蓄積したデータを活用する
蓄積したデータは溜めているだけではあまり意味がないので、活用できるようにしましょう。活用まで含めて設計できていると最高です。
ちなみに、リサーチ手法はマーケティング領域で体系化が進んでおり、実際のところCS向けの資料よりもずっと充実しています。調査に不慣れな方は以下のような資料を参考にするのがおすすめです。
「マーケティングリサーチとは」https://www.macromill.com/marketing_research/know.html
1. カスタマージャーニーの要所要所に吸い上げるポイントを作る
前段が長くなってしまいましたが、特にカスタマージャーニーの長く複雑なBtoBサービスにおすすめの手法です。
カスタマージャーニーまたはカスタマーライフサイクルの要所要所で少しずつ声を収集することがおすすめです。使い方としては、CSMのサービス品質のチェックや改善点の洗い出し、ヘルススコアの補完、プロダクトへのフィードバックのなどに活用できる情報が集まります。サブスクリプション型の商材に限らず、全てのプロダクト・サービスは、顧客の現在の利用ステージによって見られ方が変わりますので、サービス利用開始からの経過時間や達しているステージ、BtoBなら体制変更などの影響を加味した設計にしておくことが必要です。当たり前ですが、同じ人でも言うことが変わります。
まずカスタマージャーニーまたはカスタマーライフサイクルについてある程度定義しておくのがおすすめです。
現在は以下のようなタイミングで自動アンケートがメールまたは画面上/手動で出るようになっています。
- 契約またはサインアップ時
- 初回ログイン/キックオフ時
- 顧客ステージの変更時
- 採用成功時
- 解約時
更新を忘れがちになるので、Qに一度程度は定期で見直しのタイミングを設けておくのがおすすめです。
現在LAPRASではHubspotとIntercomと組み合わせて、アンケートツールのTypeformを使っています。
2. 1クリックで顧客の声を集める仕組みを作る
LAPRASではIT企業のお客様や、担当者にITエンジニアの方が多いため、サポート目的で多くのお客様とSlackの共有チャンネルを作成しています。(最近3社以上で共有チャンネルを作れるようになり、さらに便利になりました)
従来のサポートチャットツールでは以下のような課題があり、現在の形に落ち着いています。(Slackを利用していない顧客のために、従来型のサポートチャットも設置して、Slackに連携するようにしています)
- お客様のチーム内での情報共有がされない
- やりとりの経緯が不明になる
- 込み入ったサポートの相談につながりにくい
副産物として、ちょっとした使いづらさや不具合報告、要望などを気軽に上げてもらいやすくなりました。そして気軽にメンションも来ます。なので、「これは良い気づきをもらえた」「これはテクサポ」「これはヘルプにしたい」といったものも都度都度記録していくと手間になってきます。
そこで、リアク字チャンネラーというSlackアプリを入れています。機能はシンプルで特定のスタンプを付けると指定のチャンネルに転送されるというもの。これで、「VoC」「FAQ」「テクサポ」などに1クリックで転送でき、特定のSlackチャンネルに情報が蓄積されるようになっています。アンケートフォームからもSlackに通知させているので、参考にすべきものは個別にVoCしたりもしています。スタンプがついていれば、その内容はすでにエスカレーション済みということも分かるので、重複防止という意味でも便利です。
もっとユーザー数が増えて流れてしまうようになってきたら、そのままスプレッドシート に転記させようかなと思っています。
ちなみに私は自分用のスタンプも作成して、自分のtimeに転送するということもやっています。Slackに慣れてくると3点リーダーからプルダウンを呼び出すのすら面倒なんですよね…
注意点としては、こういったユーザーが自由に作成できる系のツールは無限増殖するので、定着してきたらある程度管理を始めた方が良いかと思います。
3. ミーティングメモを読まれるようにする
ここまでテキスト情報の収集について紹介してきましたが、やはり対面(LAPRASのサポートはコロナ前からオンライン主体ですが)で話すのが一番情報量が多いです。通常、定期的な顧客MTGでは議事メモを取ったり、プレイブックを利用したりすると思いますが、それ、チームに共有されていますか?CRMやCSツールに入れてそのまま誰にも見られないということがよくあるのではないでしょうか。
LAPRASではHubspotのコメントを記録していたのですが、やはり上記の課題が発生していました。そこで、Hubspotにメンション用のユーザーを作り、Slackチャンネル直通のメールアドレスに通知させるという荒技を使っていました。
メンバーの書いたメモがこのようにSlackチャンネルに流れてくるので、チームの動きを円滑にする意味でも非常に役立っています。ミーティングのたびに話しながらメモを書いて、顧客にToDoなどを振り出して、Hubspotに書いて、更に社内用にSlackに書いて…となると疲れてしまうので、一手間減るだけで大きな効率化になっています。
今はHubspotも機能追加されて、Slackチャンネルに関連付けることができるようになった模様です。今後はこちらに切り替えていく予定です。
SlackもHubspotも気がついたらどんどん機能が増えていて、すごくありがたいですね。
おわりに
今回は、ユーザーの声を収集するための便利テクニックを3つご紹介しました。CSMという職種はとにかく案件を多く抱えていて、目の前の対応に追われがちなケースが多いと思います。
ちょっとした情報入力、コメント作成、調整、情報の転送などがなくなるだけでその時間的精神的な余裕をより深い顧客理解や施策の立案などに充てることができるようになりますので、こういったTIPSもうまく活用して効率化をしていきましょう。